頸城平野を一望できる
標高580mの地に湧く秘湯

新潟県上越市牧区宇津俣に位置する「鷹羽鉱泉」は、頸城平野を一望できる標高580mの地に湧く秘湯です。その名の由来は、タカが傷ついた羽を癒したという伝承に遡り、江戸時代には「宇津俣湯」として人々に親しまれていました。

1927年(昭和2年)、当時の所有者であった佐藤家の先々代が内湯を地域住民に開放したことで、鷹羽鉱泉は多くの温泉愛好家に知られるようになりました。一時は宿泊も可能で、山菜料理やコイ料理を楽しむことができる温泉場として賑わいを見せました。

時の流れと共に、
歴史に幕を閉じる。

時の流れと共に経営者の高齢化や後継者不足が進み、2015年10月にその歴史に一度幕を閉じました。しかし、鷹羽鉱泉の魅力を守りたいという思いが、温泉ファンたちによって再び息を吹き返します。地元の温泉愛好家グループ「鷹羽会」は、施設を購入し修繕を行い、再開を目指しました。

しかし、営業許可の取得には公衆浴場法の規定を満たすための大幅な改築が必要であったため、やむを得ず「野湯」として開放する形を選択しました。

  • 宇津俣湯として知られる 江戸時代 -
    「タカが傷ついた羽を癒した」という言い伝えとともに、湯治場として利用される。
  • 内湯を住民に開放 1927年(昭和2年)
    佐藤家の先々代が地域住民のために内湯を開放し、温泉場としての歴史を本格的にスタート。
  • 宿泊施設として繁栄 1965年頃
    宿泊が可能になり、山菜料理やコイ料理を提供。多くの温泉客で賑わう。
  • 廃業 2014年(平成26年)
    経営者の高齢化と後継者不足により、惜しまれつつ営業を終了。

湧き出る鉱泉水の泉質は乳白色の硫化水素泉で、硫黄の香りが漂うかけ流しの湯。適応症として高血圧症や動脈硬化症、リウマチ性疾患に効果が期待され、訪れる人々からは「あせもが治る」といった声も聞かれます。

温泉ファンに
よって再び
息を吹き返す。

2019年の台風19号による道路寸断や土砂流入などの自然災害もありましたが、2025年に宿泊とサウナを楽しめる貸し切り施設として生まれ変わる予定です。

新施設では、昔ながらの石造りの露天風呂に加え、薪ストーブを使用したサウナが新設。また湧き水を使ったドラム缶型の水風呂や、鉱泉水を用いた冷水風呂も完備し、アウトドアチェアやハンモックでくつろげる空間も提供します。




 


  • 鷹羽会による復旧作業 2015年〜2019年
    温泉愛好家のグループ「鷹羽会」が施設を購入し、再建に向けて修繕作業を開始。
  • 台風被害を乗り越える 2019年(令和元年)
    台風19号により道路寸断や土砂流入など甚大な被害を受けるも、復旧作業を継続。
  • 試験営業を開始 2024年(令和6年)
    関係者限定での試験営業を開始し、新施設の運営準備を進める。
  • 貸し切りサウナ施設として再オープン 2025年5月(予定)
    露天風呂、薪ストーブサウナ、湧き水の水風呂などを備えた新しい施設として営業開始予定。